彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あやう)からず

(敵情を知って味方の事情も知っておれば、百たび戦っても危険がない) 孫氏の兵法 謀行篇

中小企業のおかれた環境

経営者が抱える多種多様の悩みには、会社の数と同じだけの答えがあると思いますが、答えを考える前に、まずは今の世の中がどうなっているのかをおさらいしてみる必要があります。まずは彼と己を知りましょう。

 

 政治的環境

 トランプ米政権の保護主義的・突発的政策によって世界中が振り回されています。

この政権は最低2020年までは続きますから、貿易が大きな柱である日本経済も不透明、不安定な状況が継続することは間違いありません。

 

 為替も不安定さを増し、原料の輸入価格、部品や製品の輸出価格にも大きな影響を与えます。

特に世界第2位の大国になった中国は政治的状況も含めた動向は日本にも多方面で影響してきます。

 

 世界がグローバル化している現在、輸出入に無関係に見える企業でも、日本全体の貿易動向が景気全体にインパクトを与える時代です。体力の強くない中小企業にとって、これらのマクロ的環境も見据えて行動する必要があるということですね。

 

経済的環境 

 日本の企業の数を皆さんご存知でしょうか?

 

 2014年中小企業白書によれば、答えは約382万。その中でなんと皆さんが経営されている中小企業と呼ばれる企業が99.7%を占めています。

 

 そして、そこでは約3360万人、全従業員の70%もの人たちが働いています。

 

  それだけ多くの人たちを支えている中小企業ですが、1999年には484万社あったものが、2009年の421万社になり、更にそれから5年間で39万社も減っています。

 

 つまり、21世紀に入りおよそ約20%、100万社も減少しているのです。生存率を見ると開業後10年生きている企業は5%でしかありません。

 

 また、赤字か黒字かで見ると、ここ数年の調査では約70%が赤字経営なのです。節税の為に赤字にしている企業もあるので一概には言えませんが、節税にも限度がありますから、黒字であってもわずかに黒字という企業がかなりの数に上っているのは事実でしょう。

 

 これらの企業を含めて、資金が調達できる間は事業は継続できますが、できなくなれば企業はつぶれてしまうのが道理で、それだけ多くの企業が苦戦しているという状況です。

 

 そして、後ほど「見える化」でお話しする管理会計という加減乗除だけで出来る手法を導入していない中小企業が80%に上るとも言われています。

 

赤字企業が70% と 管理会計未導入80%。 

 

つまり両者には強い関連性があることが推測できる状態だということですね。 

                    

社会的・技術的環境

 話は変わりますが、皆さんは今日街で見た看板の数をすぐにいくつ思い出せますか?10個以上あれば大したものです。人間が覚えていられるのは4時間半という説がありますが、そもそも人間の脳のキャパは一定以上には増えません。

 

 ところが、現在は第4次情報革命の時代と言われIT(情報技術)が加速度的に進歩し、情報が氾濫しているために、何を見たのか?何を選んだら良いのかわからなくなっている状態です。この状況はこの先ずっと続きます。

 

   下のグラフをご覧ください。こうなると、もう想像もつかない情報量ですね。                             

総務省 平成26年情報通信白書より

<国際的デジタルデータ量の推移>     

EB=エクサバイト 10の18乗=1,000,000,000,000,000,000

ZB=ゼタバイト  10の27乗=1,000,000,000,000,000,000,000

       

  総務省の別データによれば2005年時点で、認識して消化できる情報量は当時の供給される情報量のわずか4%しかない にも関わらず、このグラフから推測すると2020年にはそれが2005年の400倍ほども増加するのです!!

 

 また、世の中は常にモノ余りの状態であり、かつ生産技術の進歩によってどの商品も似たりよったりで、品質的にはどれを選んでも大差ない時代になっています。

 

 更にはそのような状況から、モノからコトへ、更にはコトからトキへ、とすら言われるほど、消費の在り方も大きく変化しています。

 

 こんな時代に生まれた若者とも同じ会社で働かねばなりません。それができなければ先々企業は養老院になってしまいます。

 

 2000年以降に生まれた世代はミレニアル世代と言われ、お金より働きやすさ、働き甲斐や絆を優先すると言われています。お金よりも、、と言うのは正しいかどうか?ですが、いずれにせよ職場に自分が求めるものがない限り彼らは転職することに全く躊躇がありません。

 

 そして彼らは就職・転職活動にもSNSをフル活用していますので、企業の情報は良くも悪くもクチコミで瞬く間に全国に拡散していきます。

 

 私たちは、こんな情報とモノと人間が混在した大海原の中で、もがき苦しんでいる、といえると思います。

向かうべき方向性

では、私たちが向かうべき方向とは、どこなのでしょうか?

 

現実を掴むために「見える化」しましょう!

 先ほど、3360万人が中小企業で働いていると言いましたが、厚労省統計によれば家族平均人数は2.4人なので、その家族を含めると、日本の人口のかなりの部分の生活を皆さんが支えているということです。

 

 つまり、経営者は素晴らしい社会貢献をされていると同時に、その分の責任も担って頂いているということでもあります。

 

 そう考えてみると、経営者は多くの乗客(商品・サービス)と搭乗員(社員)を載せて目的地まで安全に運ぶ、飛行機の機長とよく似ていると思います。墜落したら、機長はもちろん、乗員、乗客、その家族は・・・・・

 

経営者は機長です!!何もない大海原をどうやって飛びますか?

 企業が赤字、廃業、倒産するには必ず何かの原因があるということは誰でも理解できるところですところが、そうなってしまうのは原因がわからないまま、わかってはいたが打ち手がわからなかった或いは手が打てなかった、間に合わなかった、、、、このいずれかの為に残念な結果になってしまったのだと思います。

 

 逆に言えば、原因がわかって、的確にかつ迅速に手が打てていれば、赤字になったり、つぶれることもなく、継続的に成長ができたわけです。

  

 そんなことはわかっているが、ではどうしろというのだ!?と言われる方々も多いと思いますが、極論すれば答えは一つしかありません。儲かる、損する、成長する、倒産する、、、どんな場合でも、それらは全て企業としての行動の積み重ねの結果から出た数字が表れたものです。

 

 ですから、答えは、日々の行動の中にある要因(+もーも)を早く見つけ、的確に対処するノウハウを身に付ける、勝つための条件を増やすこと。この一点につきます。

 

 その為には、何をおいてもまずは数字を掴むこと、その「見える化」が第一歩になるわけです。

 

算多きは勝ち、算少なきは勝たず(勝利の条件が多い方は勝つが、少ない方は負ける)計篇 

 

 機長が多くの計器でその時々の数値を見て操縦し、搭乗員に指示を出し、管制塔と連絡を取り、それらの積み重ねで乗客・乗員を無事に目的の空港に着陸させているのと同じですね。

 

 機長は、あ~もうちょっと高くしてくれとか、もうちょっと右だよな~、などという曖昧な指示は決して出しません。必ず高度○○フィート、速度○○ノットと言った数字で指示を出しているのです。経営も同じですね。組織(機体)にも計測機器とそれを読み取り、判断するノウハウが必要なのです。           

 

 しくはこちらまで                       

 

「魅力化」しましょう!

 

 私たちは溢れる(40ZBです!)消化すらできない情報の中で生きています。そして、そんな中で生き残り、更に成長する必要があります情報の大海の中から選ばれ、利用される物やサービスを生み出し、顧客との強い結びつきを創造して利益を上げ続けなければならないのです。

 

 アマゾン、ソフトバンク、楽天、ユニクロ、無印良品、サントリーなどの企業は多くの人に選ばれ、利用されているブランドだからこそ、成長し儲かっているのですよね。 

 

 そんなことわかっているが、どうしろと言うのだ?!と、また言われそうですが、これも極論すれば答えは一つです。それは会社を「魅力化」すること、すなわちブランド化することです。

 

 企業は規模だけではありません。ブランドは大手だけのものではないのです!

  

「山椒は小粒でピリリと辛い

 

 大手の来ないニッチ市場でブランド化=ブランディングをすることです。

    

 攻めて必ず取るものは、其の守らざる所を攻むればなり。

  (攻撃したからには必ず奪取するというのは、敵の守備していない所 攻撃するからである。) 虚実偏

 

 経営資源が小さな中小企業は社員が経営者の方針を良く理解し、同じ方角に一致団結して進まねば力が分散し、大手には勝てません。また彼らが自主的に行動できなければ、経営者が独りで何もかもやらねばならず、自ずと限界が出てきます。

 

 そして全員で良い商品・サービスを生み出し、営業や広告・販促活動を行い、知ってもらい、購入してもらうことで初めて顧客に選んでもらえる企業になれるわけです。

 

 中小企業は、市場・顧客からも社員・転職希望者・学生からも選ばれる、真に魅力的な企業になり、知ってもらい、選んでもらわなければない時代なのです。

 

 我は集まりて一と為り敵は分かれて十と為らば、是れ十を以ってその一を攻むるなり。(こちらは集中して一団になり敵は分散して十隊になるというのであれば、その結果は十人で一人の敵を攻めることになる。)  虚実篇 

 

詳しくはこちらまで          

                              

「マーケティング」力を高めましょう!!

 

 会社を魅力化しながら、数字を見える化できるようになると、機体と計測機器、機長と搭乗員が揃い、飛ぶ準備が整いました。次に機長は・・・どう飛ぶか?という飛行航路の設計をしています。それがマーケティングなのです。

 

 マーケティングという言葉は時として宣伝・広告や市場リサーチの意味で使われますが、それは全体の一部を表しているだけで、本来の意味を一言でいえば、企業や事業がおかれた環境を分析し、どうやって顧客に向かってゆくかのプロセスを設計することです。

 

 飛行機をどうやって目的地まで運ぶかという飛行ルートを設計することと同じで、晴天の日もあれば、雨の日もあれば、台風の時だってあります。機長も同じで、どうやって先を読んで飛んで行くか考えねばなりません。それを考えるための道具がマーケティングなのです。

     

是の故に勝兵は先ず勝ちて叱後に而る後に戦いを求め敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む        

(勝利の軍は開戦前にまず勝利を得てそれから戦争をしようとするが、敗軍はまず戦争を始めてからあとで勝利を求めるものである。) 形篇   

                                  

 (  魅力化  + 見える化 )x マーケティング=成長

 (  機体と搭乗員 + 計測機器 ) x  飛行計画 = 価値のある旅 

 

 さて、環境と方向性はご理解いただいたでしょうか?

 

魅力化と見える化は成長経営の基盤作りの第一歩なのです。T-Bizコンサルティングでは、この第一歩からサポートさせて頂き、皆様に並走しながらマーケティングのお手伝いをさせて頂きます。

 

 また、企業を支える基盤の営業力や物流、システムなどの面でも多様な一流のパートナーの力も借りながら、継続的に成長できる企業になることも応援致します。

 

 

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